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【2】認知症徘徊の検索方法とは②
今後、認知症による徘徊高齢者の急増が社会問題に
ところで、 徘徊により行方不明となった人の家族の中には行方を捜そうにも情報を得る手段がなく、途方にくれる人も少なくない。
単に行方不明になっているだけであれば、自分の力で家に戻ることができる場合が多く、自分の力で帰宅できなくても自分の名前や住所を伝えることはでき、警察も含めて他人の力を借りて自宅に戻ることはできる。
DVや多額の借金をかかえ逃げている人は警察や福祉関係者の力をなどを家族に見つからないように逃げ通すこともできるだろう。
しかし、認知症や知的障がい者や精神疾患の患者の場合には、自分から他人の力や警察の力をを借りて帰宅できずに徘徊を続ける人が増えている。 さらに今後爆発的に後期高齢者が増えていくなかで、認知症による徘徊者が急増し、大きな社会問題になる。
全国自治体による徘徊高齢者に対する取り組み
認知症徘徊者の捜索方法は、全国各自治体で細やかな取り組みをしているところも増えてきているが、まだまだ不十分な地域も多く存在する。
少し昔までは、地域の人の結びつきが強く、徘徊されても地域の誰かが発見され無事に家に戻れていた。しかし、地方においては過疎化と高齢化が進み徘徊者を見つけられなくなってきた。
都市については隣に住んでいる人の顔も名前もわからないという状況の中で、認知症徘徊者を見つけることは不可能に近い。
そこで、自治体での認知症徘徊者の捜索方法の主なものとしては、「認知症高齢者の相談・情報の共有」を進めるという方法がとられ始められている。わかりやすいように具体例を一つ紹介することにする。
宮城県岩沼市の徘徊高齢者への支援と取り組み
東日本大震災の被害を受けた宮城県岩沼市では、介護福祉課及び地域包括支援センターを設置し、徘徊の恐れがある高齢者とその家族等が、安心して地域で暮らすことができるよう支援している。
「認知症高齢者の相談」として、地域で安心して暮らすために日頃から対策をとることができるよう、家族やケアマネジャーなどは地域包括支援センターに相談をすることができる。
また、「情報の共有」として、同意書(様式第1号、顔写真添付が必要)を地域包括支援センターへ提出し、介護福祉課と情報を共有しておくことで、万が一徘徊時に行方不明となった際、緊急対応がスムーズにできる。
家族が希望する時は、岩沼警察署に情報提供できる、その際、知り得た個人情報は介護福祉課及び地域包括支援センター、岩沼警察署で厳重に管理し、目的以外に使用されることはない。
それぞれの機関の役割
- 家族等
- 同意書を提出し、地域包括支援センターへ相談する。緊急時は岩沼警察署へ 110 番通報する。
- ケアマネジャー等
- 徘徊の恐れのある高齢者の家族へ、地域包括支援センターに相談ができることを説明し、必要な対策を講じる。
- 地域包括支援センター
- 家族からの相談を受けた場合、介護福祉課へ情報提供し、徘徊の恐れがある高齢者について関係者と必要な対策を講じる。また、台帳管理を行う。
- 関係機関(デイサービス等)
- 協力機関届出書を提出し、認知症高齢者の見守りや捜索協力などを行う。
- 介護福祉課
- 地域包括支援センターの情報を受け台帳管理を行う。緊急時は、中心となって対応にあたる。
徘徊高齢者の通報から発見までの具体的な流れ
- 1.家族…『岩沼警察署へ 110 番通報する。
- 2.地域包括支援センターの役割。
- ①家族・ケアマネジャーから一報を受け、事前相談の有無・基本情報及び行方不明時の状況を確認する。
不明時刻、向かった方向、不明時の服装や移動手段、身体的特徴など - ②家族の同意のもと写真の提供を得る(必要時)
- ③介護福祉課へ①と②について情報提供(事前登録の有無確認)・共有
- ④ケアマネジャーと共に家族等への相談支援及び連絡調整
- ⑤可能な範囲での捜索協力 ※緊急の場合、この連絡をもって利用者登録とする。
- 3.介護福祉課の役割
- ①家族の同意のもと捜索体制を決定し、関係者へ協力依頼する。
- 1)行方不明者の情報共有(事前登録の有無確認)
- 2)捜索範囲・期間、人員の配置、連絡体制を整える
- 3)行方不明者の情報をまとめたチラシ作成
- ②関係機関へ捜索協力依頼の電話連絡及び FAX を送信する。
- ③消防署へ連絡し、消防団員への一斉メール送信を依頼。
- ④庁内メールで全職員に協力依頼。
- ⑤岩沼警察署、地域包括支援センター、関係機関と連携し情報収集を行う。
- 4.関係機関
- 行方不明者を目撃・発見した際には、その情報を岩沼警察署へ連絡する。
- 5.岩沼警察署
- 家族等の要請により、SOSネットワークを稼働させ巡回の強化を図る。
また、関係期間からの情報を家族や介護福祉課へ連絡する。 - 6.発見時の対応
- ①必要な支援:ケアマネージャー、地域包括支援センター、介護福祉課で役割分担
(例:救急搬送、サービス調整、再発防止策など)。 - ②集結報告:介護福祉課から全関係機関へ行う。
このように、このシステムを知らない人であっても最初に警察へ電話をかけるところから始まるので、このマニュアルに沿って捜索がおこなわれている。 しかし、警察へ電話しない人もあれば、個人情報の問題でマニュアル通り捜索できない場合も少なくない。また、マニュアル通りに捜索しても発見されないことも多い。 たとえ徘徊中の認知症患者が発見されて病院や施設に措置されていても自分の名前を正しく言えないことから別人の名前で入院や入所されていて、家族を見つけられなかった例も多い。
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